領収書とレシート150枚を、勘定科目ごとにAIで仕分けた(読み取り74秒・全体69分)

2026年9月4日 / 実演

AIが「読み取りに自信がない」と印を付けた1枚を、現物で開きました。

手書きの領収書で、但し書きは「工具代として」、金額は13,900円。ところが同じ日・同じお店のレシートが別にあって、そちらは「昼食代 3名×1,423円」で税込4,695円。金額も中身も合っていません。

この回の山場は、150枚を74秒で読んだことではありません。AIが62枚まで絞ってくれたから、人がそこだけ見ればよかった、という順番のほうです。

用意したもの

架空のサンプル会社(株式会社サンプル建設)の領収書とレシートです。実在の取引先・顧客の情報は1件も使っていません。書類の中にも「架空のサンプルです」と入れてあります。

用意したもの 数
印刷レシート 100枚
手書きの領収書 50枚
支払先 / 期間 12か所 / 2025年7月1日〜10月29日

作業の前に、1つ聞きました

いきなり始めずに、先に「この作業に最適なモデルとエフォートは何か。まだ作業はしないでください」と聞いています。

返ってきた答えは、段取りと勘定科目の判断をする本体は上位のモデル、150枚を読む係は軽いモデルで、しかも「考えない設定」にする、というものでした。

理由が実務的でした。読む係の考える力を上げると、「食事処だから8%のはず」と、紙に書いていないものを補う方向に働くからです。念のため書いておくと、食事処で店内で食べた分の消費税は10%です。8%になるのは持ち帰りなどで、この150枚に8%は1枚もありません。つまり、補うと間違える例です。転記係には考えさせず、代わりに検算と二重読みで担保する。この回はその形で進めています。

出した指示

このフォルダの領収書・レシートの画像を全部読んでExcelの一覧にしてください。
日付、支払先、内容、金額、消費税、勘定科目、支払方法、元のファイル名。
勘定科目は燃料費・消耗品費・接待交際費・車両費・旅費交通費などから確認して選んでください。
手書きで読み取りに自信がないものは「要確認」の印を付けてください。
最後に勘定科目ごとの合計表も。まとめておいたほうがいいシートがあれば分けてください。

※音声で話した内容を、要点にまとめたものです。

読み間違いをどう潰したか

印刷レシートと手書き領収書では、やり方を変えています。

枚数 やり方 理由
印刷レシート 100枚 10体×10枚を1回読み → 4種類の検算 数量×単価・小計・税・合計があるので、計算で自己検証できる
手書き領収書 50枚 5体×10枚を、2人が独立に読んで突き合わせ 紙に金額が1つあるだけで、検算が一切効かない

手書きの読み手は、片方が「文字重視」、もう片方が「数字重視」と、わざと別の指示にしました。50枚とも、2人の結果は完全に一致しました。

読み取りはAI 20体が並列で74秒。エラーは0です。

かかった時間

全体で69分でした(12:01〜13:09。画面に出た値です)。

何に 時間
素材を調べて段取りを決める 12:01〜12:09
読み取り(20体並列) 74秒
検算・勘定科目の割り当て 12:11〜12:18
Excel 8シートの作成と目視検証 〜12:30
お客様向け文書(Word原本+PDF) 12:30〜13:04

69分のうち、私が手を動かしていたのは10分もありません。確認して、お願いをしていただけです。

かかった時間と費用のまとめ。棒グラフでトークンの内訳が示され、サブエージェント20体が画像150枚を読んだ分が最も大きい。下に、かかった時間69分・実効トークン2,759万・従量課金なら92.71ドル・日本円で約1.48万円と並んでいる
実効トークン(実際に処理された量)は2,759万。そのうち73.5%が「画像を見ること」に使われています。文字を読むのにくらべて、画像は桁違いに重いです。従量課金なら約1.5万円ですが、Maxプランの中なので追加の費用はゼロでした

できた一覧表

8シート構成です。①領収書一覧/②勘定科目ごとの合計/③要確認/④支払先ごとの集計/⑤月別・支払方法/⑥明細(品目ごと)/⑦検算の結果/⑧この表の読み方。

150枚の税込合計は3,868,679円でした。勘定科目でいちばん大きいのは車両費で41.5%、次が燃料費の21.8%です。

Excelの要確認シート。コードA〜Fごとに件数と「どうするか」が表になっている。A 読み取りに自信がない 1件、B 但し書きと発行元の業種が合わない 45件、C 5万円以上なのに収入印紙が貼られていない 22件、D 1枚に2つの勘定科目が混ざっている 6件、F 「昼食代」なのに時刻が昼ではない 8件。要確認が付いた領収書は150枚のうち62枚
要確認シートです。「何が引っかかったか」と「どうするか」を種類ごとに分けてあるのが要点で、人は上から順に見ていくだけで済みます。「読み取りに自信がない」は1枚だけでした

★現物を見たら、辻褄が合いませんでした

要確認62枚のうち、AIが「読み取りに自信がない」と言った1枚だけを、現物で確かめました。

左は手書きの領収書。株式会社サンプル建設様、金13,900円、但し「工具代として」、発行は食事処 見本、2025年08月21日。右は同じ食事処 見本のレシートで、2025年08月21日12:31、昼食代 3名×1,423円、合計4,695円、クレジット払い
左が手書きの領収書、右が同じ日・同じお店のレシートです。13,900円「工具代として」と、4,695円「昼食代」。AIもこの1枚には要確認コードB(但し書きと発行元の業種が合わない)を付け、備考に「内容が不自然だが印字通り転記」と書いていました。ただ、同じ日・同じお店のレシートと並べて食い違いに気づいたのは人です。AIが150枚を62枚に絞って、しかも「この1枚だけ自信がない」と言ってくれたので、そこだけ見れば済みました

そこから「同じことが他にないか、150枚を全部調べて」と頼んだら、同じ形がさらに2組出てきました(7月5日と7月17日)。最初の検算に「同じ日・同じ支払先の突き合わせ」を入れておくべきだった項目です。この3組も、素材を作ったときに日付と支払先をそれぞれランダムに振った結果で、仕込んだものではありません。ただ紙の上では実際に重なっているので、実務なら拾うところです。

ほかにも、5万円以上なのに収入印紙が貼られていない手書き領収書が22枚ありました。印紙を貼る義務は発行した側にあるので、受け取った側の納税義務ではありませんが、相手方の印紙もれではあります。ただしこの素材は、手書き50枚とも印紙欄を空のまま作ってあります。22枚は、そのうち金額が5万円以上だったものの数です。

ここからが実際の業務です

一覧表を作って「3組おかしいですよ」で止まると、そこで終わります。同じ日に2回払ったのか、但し書きの書き間違いなのかは、紙だけでは決まりません。先方に聞かないと決まらないことです。

なので、分からなかったこと・先方に伝えることをまとめた確認文書(Word原本+PDF)まで作らせました。最初は行間が広くて5ページあったので、フォントと行送りを指定して直させて3ページにしています。

正直に書いておくこと

1. 「工具代」の1枚は、AIが見つけたのではありません。AIは「読み取りに自信がない」「業種と合わない」と印を付けるところまでです。同じ日のレシートと並べて食い違いに気づいたのは人です。ここは絶対に逆に言いません。

2. 軽減税率8%の領収書は1枚も入っていません。「混ざっていたが正しく処理できた」とは言えません。印字で10%と確かめられたのはレシート100枚です。手書きの50枚には税率が書いていないので、一覧では「10%(前提)」として扱っています。

3. インボイスの登録番号は、素材の作りの都合で150枚とも同じ番号です。なので、この回では番号の照合を判断材料にしていません。実物では効きます。

4. 但し書きが発行元の業種と噛み合わない領収書が45枚ありますが、これは意図して仕込んだものではありません。素材を作ったときの割り当てがランダムだっただけです。ただし紙の上では実際に噛み合っていないので、実務なら拾うべき矛盾ではあります。

5. 勘定科目は、AIが決めるものではありません。食事処の16件を接待交際費にするか福利厚生費にするかは、現場の実態を知っている人が決めることです。AIは「こう仮置きしました」までです。取引先など社外の人を交えた飲食で、1人あたり1万円以下なら交際費から除けます。ただし年月日・参加者の氏名と関係・人数などを書いた書類の保存が必要で、レシートだけでは足りません。社員だけの食事はこの枠に入りません。

6. できなかったこと・詰まったことが3つあります。数字がセル幅に収まらず「####」になった。明細のPDFが41行までしか出なかった。Wordの行間が広すぎた。前の2つはAIが自分で見つけて、原因を切り分けて直しました。Wordの行間は私が指摘して直させています。3つとも一発では通っていません。

この作業をやらせるべきか

毎月、領収書がまとまった枚数で溜まる会社なら、価値があります。建設・運送・営業所の多い会社のように、現場ごとに現金で払う場面がある商売です。

逆に、すでに経費精算システムで撮影→自動仕訳まで回っている会社では、ここまでの仕組みは要りません。そういう場合はそう申し上げます。

まずは、同じ日・同じお店で2枚あるものが無いかを見てみてください。二重計上に直結するので、ここがいちばん怖いところです。

御社の場合はどうか

一番めんどうな業務を1つだけ教えてください。それがAIに渡せるかどうかをお返しします。

「渡せない」という結論になることもあります。そのときは正直にそうお伝えします。

同じことを、御社の業務でやります。

7つの質問に答えると、その場でAIに渡せるかが分かります。

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実演は、動画でも出しています。

記事に書いていることは、全部この中で実際にやっています。

まず、一番めんどうな業務を
1つだけ教えてください。

いま具体的に困っている業務があるなら、左のボタンから。まだそこまでではない、という段階なら、右のLINEで資料だけ受け取ってください。売り込みの電話はしません。